ハイテク義歯+1 (命名者は、新聞記者)
マイクロプロセッサ−を搭載した Denture(義歯) English
Microprocessor Embedded Denture
ICタグ 搭載義歯
ダヴィンチ・コード入りDenture
大阪市 岸上歯科・矯正歯科医院 岸上 尚司
ある日、TV.を観ていたら、老人ホ−ムのことが映り、毎食後義歯使用者全員の義歯を集めて
洗浄していた。ほとんどの老人が Full Denture(総義歯) のため、見た目、形が同じで返却時 に困難を生じていた。
そのため、レジン床に油性ペンで書いたり名前を彫り込んだりしていた。
現在は、レジン床に名前を封埋するようにしているところもある。ただし、時間の経過とともに
レジンのよごれにより、名前が読みづらくなってくる。
何よりも、名前を埋める作業が煩わしく、場所もとり、義歯の強度に影響がでる。
何か良い方法はないものか? と考えていた。
私は学生時代、硬式庭球部(地区インカレ優勝経験あり)に属し、冬はスキ− (S.A.J.1級)を
楽しみ、最小単位数を持って卒業した 超模範的?学生だった。
スポ−ツには、道具とか服装が必要である。 例えば、陸上競技ではスパイクが要る。
そこには、自分の名前なり 「印」 を書く。
野球でも、自分のバットであればそれに自分の背番号を書く。
特に、テニス、スキ−、ゴルフ等の場合、流行のものが一時に出回り、人の物と間違う事が多
い。
それを防ぐため、自分だけのマ−クを付ける−−−これが個体識別。
私の場合、ゴルフクラブのシャフト部分に赤色テ−プを巻いている。
この様な経験が、今回の 日・米特許 に繋がったと考える。
我が父親がTV.に放映されると言うので、時々でているが--獣医師であり発明家、 獣医学博士
医学博士、発明による黄綬褒章の受賞 (特許所有数1 実案2) --観ていたら、迷い犬を防 8止するため首の皮下にマイクロチップを注射注入するという ニュ−スであった。
早速、実験を繰り返し、簡単かつ確実に封埋する方法を編み出した。
義歯への封埋方法について
現在使用しているチップは、外側がガラス製で熱に弱い。よって、レジン加熱重合時に埋没さ
せることはできない。
義歯完成後、チップの大きさに合わせてレジンを削り、チップを入れ即時重合レジンで固め
る。しかし、実際に行ってみると大きさに合わせて削るという作業が意外と難しい。
そこで考えたのが、ロウ型時に、後ではめ込むチップの型(凹)を造溝具で作っておく。
そうすれば、そのチップの形が丸型でも四角でも容易に形成でき、レジンの削り過ぎも防げ
る。
その型(凹)に、マイクロプロセッサ- を埋め込む。
これが、Kishigami Method である。義歯識別法。
現在、実際に使用している物は、米国デストロン・フェアリング社製で、商品名は ライフチップ
という。 直径2mm 長さ11mm あり、少し大きいが実用には耐える。
将来的には、もっと小型化されると考える。
マイクロプロセッサ−についての説明
1.個体識別を目的とした動物用皮下埋め込み型の電子標識器具で固有の I.D.No.を書き込
んだ超小型集積回路 (IC)が封入されている。
製品概要
(形) 長さ11mm 直径2mmの円柱形
(製品名) ライフチップ
(性能) ライフチップ 義歯への埋め込み
ライフチップリ−ダ− ライフチップのI.D. No.の読み取り
(規格) ISO 11784 (FDX-B)
(製造元) Destron Fearing 社(米国)
(貯蔵方法) 室温保存
2.I.D. No. 読み取りの原理
1.ライフチップリ−ダ−から発信される電波(質問電波)が、電磁誘導によってチップ内の
コイルアンテナに電力を発生させる。
2.ライフチップが起動することで、電磁誘導電波(応答電波)を発信し、リ−ダ−が、
その応答電波を受信する。
3.応答電波から読みとられたデ−タは、リ−ダ−のディスプレイ上に被識別義歯の
I.D.No.として表示される。
3.診断機器への影響(製薬会社にて実験済み)
ライフチップは、X線照射によるX線の影響を受けない。
M.R.I.診断の際、磁場の影響を受けず、M.R.I.画像にも影響を与えない。
特許について
特許を取るためには、何らかの発明が必要である。
特許法における発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。と
規定している。
そして、産業上の利用性があり新規な発明であり、かつ進歩性がなければならない。
特許権は、特許庁へ出願後、審査を経て、登録によって発生する。
出願してから、登録されるまで、1年半から2年ほどかかるが、最近電子化されたため少し期
間が短縮された。
この件に関する私の特許は、以下のとおりである。
日本特許 発明の名称 持ち主を特定できる義歯の作製方法及びそれに用いる造溝具
特許番号 特許第3026079 (P3026079)
特許権者、発明者 岸上 尚司
米国特許 Title of the invention Method for embedding mark in denture and implement
for marking recess used therefor
Patent No. 6,059,571
Patentee & Inventor Hisashi Kishigami
まとめ
現在は、1つの I.D.No.を患者、技工所、当院にて保管している。
将来、本法の完全一元集中管理が出来れば、I.D.Cardの助けになり、警察捜査等の助けにも
なると思う。 義歯の落とし物も減るだろう。 近い将来、容量が大きくなればI.D.No.の他に、歯科医院名、製造年月日、患者氏名、年齢、住
所、顔写真等を直接、即座に書き込める様になると思う。 徘徊老人のために超小型のGPSを埋め込んでもいいだろう。
また、リテイナ−、可撤式矯正装置等にも利用できる。
本稿を終えるにあたり、常日頃より公私共、ご指導賜っている 河田 照茂 徳島大学 名誉
教授、森山 啓司 徳島大学 教授、日浦 賢治 徳島大学 助教授、 医局、同門会 (竹田 信
也 会長 徳島市 開業)、先輩諸氏、同僚、友人達に感謝申し上げる。
原稿依頼いただいた、JOP 冨久 栄治 編集長に御礼申し上げる。
ありがとうございました。
JOP 2000年 7月号 掲載
パテントコンサルタント12-8掲載
上記に関しての新聞記事を掲載していましたが、日本矯正歯科学会からの指摘を受け削除
しました。
所々、 削除しました とありますが、どうぞご理解ください。
Feb/08/2021 削除しました
米国 特許証 May/09/2000
Feb/08/2021 削除しました
|