顎運動と脳   english
顎運動と脳の関係 について  
The relationship of between Mandible Movement and the Brain


顎運動をつかさどる主なものは、骨格、筋肉、神経です。
脳からの指令が神経を伝い、下顎が筋肉により動きます。
『骨格が軌道を造り、筋肉が力、速さを生む
顎運動を考えるとき、軌道・軌跡ばかりを考えず、「筋肉」「神経」を連動したものを考えないと
いけません。

脳から "咬め" という指令が出たとき、咬み合わせの正常な人は、何も考えず、自動的に咬み
合わせ、物を咬み砕きます。
右で咬めば咬めるとか、左で咬めばアゴが痛いとか、考えること自体がすでにおかしい。
しかし、咬み合わせが悪い人の場合、自分本来の正しい軌道--痛みを生じる--を通らず(脳
では、ここを通れば何らかの障害が起こると、経験より認識している)、
自分自身で、痛みを生じなくて 咬むことができる軌道(脳では、必要に迫られ自分で作った回路)を探します。

しかし、何かを食べる度に、考え、探さなければならず、これが脳にとりきな stress となりま
す。 頭痛の原因にもなり、ひどくなれば四六時中かみ合わせのことを考え、精神病に移行する
場合もあります。


人間誰しも痛みに対し、恐怖感をもっているし、これが生体防御の信号となっています。
痛みとは、外界からの何らかの刺激が強くなり、これが生体に有害に働くときに 痛み として感
じられます。


痛みがおこらないよう自分で勝手に作った脳内回路と顎運動軌道故、何かの拍子に、それ忘れてしまい、自分本来の顎運動軌道に入ってしまう時があります。
例えば、前項で詳しく述べていますが、おいしいくて硬いものを夢中で食べた、就寝時の喰いし
ばり、競泳時、等。そのような時、以降に、 顎関節症を発症します。

症状には、一般的に急性と慢性があります。慢性とは症状が激しくないものをいい、急性と
は、急に症状を発することです。

顎関節症を、私は 捻挫の一種 と、とらえています。
"捻挫とは、関節が外力により、生理的運動領域以上の運動ないし、本来不可能な運動を強
制され、関節面の正常相互関係は、瞬間的に乱れるが直ちに旧に復する場合をいう。付着靱
帯の過伸展あるいは断裂がおこる。"(金原出版:整形外科学より)

上記文に、「外力により」 とありますが、顎関節の受ける力は、外力 と 咬合力(内力)です。、
いわゆる 外力(暴力とか交通事故、転倒、等により受ける力)と、自身の『咬合力』があると考
えます。『咬合力』とは、咬合により生じる力 です。


歯科矯正装置 Full Bands System (F.B.S) への過信について
Overconfidence in the F.B.S.                                                                    english

少し、F.B.S. の歴史を紐といてみます。
この装置の基礎を築いたのは、かの有名な米国の Dr.E.H.Angle です。
1930年に他界されたが、その直前にこの治療法を体系づけられた。
2002年現在、まだ100年を経過していない 新参もの です。
100年続いてこそ一人前です、私たちは何とか継続していかなければなりません。
いろんな流派が枝分かれしたが、主たる装置は、Band, Bracket, Wire.で構成される。
それが、そのまま日本に輸入され、他方 ヨーロッパからも技術が輸入されました。
 
しばらくして、日本の東京医科歯科大学の Prof.三浦 不二夫、Prof.黒田 敬之らが、今現在
我々が使用している画期的な世界に誇れる Direct Bonding 法を開発しました。
しかし、ほとんど、装着するwireは1本の連続したものです。
前記の The Swing of The Jaw  の中に書いていますように、上下共、連続したwireを装着す
ると、両方とも平面化され、平面と平面 を完全に合致させるのは、人間の能力をこえてしまう。

そこで、矯正治療の最終段階 において前歯部、左右臼歯部をsectionalize すれば、少しでも
「回避」できるであろう、と考えます。
2002年6月1日
                                            岸上 尚司



  下顎運動の文中に戻る      

 
戻る
戻る